スタンダードJAZZ入門 ~女性ボーカリスト編①~

2016/6/24

皆さま、こんにちは!
スタッフ兼ジャズボーカリストの ひろつです。

『スタンダードJAZZ入門』では、これまで代表的な
ジャズの名曲をご紹介させていただきました。
今回は少し角度を変えてボーカリストに目を向け、
ジャズの花形ともいえる
『女性ジャズボーカリスト』を4人ご紹介させていただきます。

 
 


Billie Holiday ビリー・ホリデイ(1915年 – 1959年)


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出典:https://classmatesmemorylane.wordpress.com/2011/04/07/april-7th-billie-holiday/

ビリー・ホリデイは「モダン・ジャズボーカルの元祖」
と呼ばれ、ジャズ史上最も偉大な歌手です。
彼女は貧困や人種差別、アルコール依存……など、
人生そのものがジャズのような壮絶な生涯でした。

そんな彼女の歌は多くの人の心を惹き付けました。
当時まだ無名であった偉大なジャズボーカリストらが、
彼女のステージを見に、一生懸命通っていたようです。

しかしビリーは名声を得たのと比例するように
トラブルが増えていったため、
多くの人々を魅了したその声も晩年には枯れ、
音域も極端に狭くなっていきました。
かすれた声で切々と歌う晩年の歌は、彼女自身の
人生と重なり、聴いていて苦しくなるほど
鬼気迫るものがあります。

それゆえに、ジャズのマイナスイメージ
(暗く苦しい部分)を浮き彫りにしてしまって
いるところがあり、ジャズ初心者の方には
ビリー・ホリデイの歌は受け入れられにくい、
という声も耳にします。

正直、私も彼女の歌をじっくり聴けるようになるまで
とても時間が掛かりました。

しかし彼女の歌は情感に溢れ、
ジャズ史上最高の評価を得て、
今もなお多くのミュージシャンに
影響を与え続けています。

ジャズボーカリストを語る上で必要不可欠の人物です。

参考:映画『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』

 

▼Billie Holidayの代表作


出典:https://www.youtube.com/watch?v=h4ZyuULy9zs

『Strange Furuits』 奇妙な果実
アメリカの人種差別を告発する出世作。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=WRTe67mQ9iI&list=PL04127617978C910E
『Lady Day』 レディ・デイ
最高のミュージシャンが集まった聴きごたえのある10枚組CD。若いころのビリーの歌声も堪能できます。


 
 


Ella Fitzgerald エラ・フィッツジェラルド(1917年 – 1996年)


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出典:http://eigo-tatsujin.net/trend/5609/

「ジャズのファーストレディ」と呼ばれ、あとに紹介する
サラ・ヴォーンと並んで文句なく
“女性ジャズボーカリスト御三家”に入る一人です。

グラミー賞に輝くこと13回!
名誉博士号授与、ジョージ・W・ブッシュからは
大統領自由勲章を授与されるなど、
輝かしい功績を残したエラですが、
彼女もビリー同様、苦労が絶えない人生でした。

17歳でコンテストに勝利し、デビュー後
チック・ウェブ楽団の専属ボーカリストとして
音楽活動を開始。
『A-Tisket, A-Tasket
(ア・ティスケット・ア・タスケット)』が
ミリオンセラーとなり一躍トップに踊り出ることに。

晩年、病をわずらい表舞台から退くまで、
女王の座に維持し続けました。

エラの歌は完璧なピッチとなまりのない英語、
明るい声で、極端なフェイク(メロディーを変えて歌うこと)
も少ないため、ボーカリストからも非常に人気があります。

初心者の方でもとても聴きやすいと思います。

 

▼Ella Fitzgeraldの代表作


出典:https://www.youtube.com/watch?v=6vXAtVbZbkI
『Mack the Knife – Ella in Berlin』
エラ・イン・ベルリン

’60年ベルリンで行われたライブ模様を収録。
ライブならではの白熱した雰囲気とエラのユーモア
たっぷりのサービスぶりが伝わってくる最高傑作。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=mT0j5kAG4AU
『At the Opera House』
アット・ジ・オペラ・ハウス

シカゴ・シビック・オペラハウスでのコンサート録音。
バックは最高のメンバーが連なっていて、
選曲もジャズの名曲ばかりが収録されています。


 
 


Sarah Vaughan サラ・ヴォーン(1924年 – 1990年)


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出典:https://3chicspolitico.com/2013/07/30/tuesday-open-thread-classics-week-sarah-vaughan/

サラ・ヴォーンはオペラ歌手にも引けをとらない声域と
豊かな声量で、大胆なフェイクやスキャット
(即興でダバダバなど意味の無い言葉を歌うこと)を
持ち味とした“女性ジャズボーカリスト御三家”の一人です。

1945年にソロデビューし、ジャズに留まらず
ビートルズやカーペンターズなどのカバーもしたり、
ポップスやブラジル音楽などの作品も多く残しています。

1977年にはブラジルを訪れ、
ブラジルのトップミュージシャンである
アントニオ・カルロス・ジョビンや
ミルトン・ナシメントらと共演したアルバム
『I Love Brazil!
(アイ ラブ ブラジル!)』は
名盤の一つとなりました。

声を変幻自在に、まさに楽器のように扱う、
天才的なボーカリストです。

 

▼Sarah Vaughanの代表作


出典:https://www.youtube.com/watch?v=dizSZr6WTpk
『Sarah Vaughan with Clifford Brown』
サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン

クリフォード・ブラウン(トランペット)との
共演が最高の一枚。
サラの巧みなスキャットと貫禄あるボーカルが圧巻です!

出典:https://www.youtube.com/watch?v=5cZG2WnXPgk
『Crazy and Mixed Up』 枯葉
有名曲の「枯葉」はジョー・パス(ギター)との
共演で最初から最後までスキャットのみ。
サラ・ヴォーンのボーカルが活きた
素晴らしいアレンジ作品です。


 
 


Carmen McRae カーメン・マクレエ(1920年 – 1994年)


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出典:http://www.2ch.com/artist/carmen-mcrae

カーメンは最初ピアニスト志望だったため
歌手としてデビューしたのは遅く、
上で紹介した大御所シンガーの中では
一番地味な存在といえるかもしれませんが、
確かな歌唱力で定評のあるボーカリストです。

ビリー・ホリデイの影響を多大に受け、
叙情性豊かな、語りかけるような歌は
コアなファンも多く
『The Great American Songbook
(ザ グレート アメリカン ソングブック)』は
屈指の名盤と言われています。

 

▼Carmen McRaeの代表作


出典:https://www.youtube.com/watch?v=X96K3OkpU7s

『The Great American Songbook』
グレート・アメリカン・ソングブック

ジャズボーカリスト史上燦然と輝くライブアルバム。
歴史的名盤。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=emyxH5i6VDc
『After Grow』 アフター・グロウ
カーメンの初期(’50年代)の作品で、
レイ・ブライアント・トリオをバックに彼女の持ち味で
あるしっとりとした情感のこもった歌声が聴けます。


 
 

いかがでしたか?

さまざまな人生を送ってきた彼女たちが
ジャズの歴史に深みを与え、
聴く人々を魅了しているんですね。

また機会があれば女性ジャズボーカリストに
ついて触れてみたいと思います♪
それではまた次回♪

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