西洋更紗【トワル・ド・ジュイ展】マリー・アントワネット
~ヨーロッパ貴族と綿の出会い~

2016/7/13

DPP034撮影:フォトグラファーごとう

皆さまこんにちは。
バイヤーのかわいです。

6/14(火)より、Bunkamuraミュージアムで開催中の
【トワル・ド・ジュイ展】へ行ってきました。
 
 


トワル・ド・ジュイとは?


18世紀~19世紀にインドの木版プリントに影響を受け、
フランスで作られた布の事を指します。

日本では『ジュイの更紗(サラサ)』や『西洋更紗』と
呼ばれています。

※2インド更紗画像1
※2インド更紗画像2
出典:http://toiledejouy.jp/

トワル・ド・ジュイは多くの人々を魅了してきました。
その理由は色彩やデザインの美しさ、
目新しさだけではありません。

大航海時代によって東洋と西洋の文化が出会い、
新しい時代や価値観が生まれた事。
後にフランス革命をもたらす民主主義の潮流や、
産業革命が起きた事で工業が一気に機械化していった事。
激動の時代の中で、
人々が懐かしい田園風景や自然への憧れを抱いた事など。

トワル・ド・ジュイは様々な歴史的背景が
織り込まれ、現代でも愛されて続けている
テキスタイルと言えます。
 
 


トワル・ド・ジュイの素材「綿」がヨーロッパに


トワル・ド・ジュイが生み出される以前、
ヨーロッパの染織文化は、『織り』が主流でした。

フランス貴族は当時、
コルセットで締め付けた体に重たいシルクか
ウールのドレスを着ていました。

※9ロココドレス画像出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/マリー・アントワネット

高級感、重厚感はあるものの、
決して着心地の良いものでは無かったと思います。

一方アジアの染織は、
綿の薄い生地を染めたり、
プリントで色柄の表現をしていました。

ヨーロッパでは綿の原料となる綿花が
栽培出来なかったためコットン生地は普及していませんでした。

その後、コロンブスのアメリカ大陸発見が有名な大航海時代、
安全な航路を発見し船での貿易が盛んとなり、
東洋の染織品がヨーロッパに輸入されるようになりました。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/フランス東インド会社

アジアから輸入される染織品が、
ヨーロッパ貴族と綿との出会いでした。

こちらの絵は、別荘でくつろぐ
マリー・アントワネットを描いたものです。

※10アントワネット画像出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/マリー・アントワネット

綿の軽やかなドレスに麦わら帽子。

コルセットで締め付けて華美な装飾で
着飾ったドレスとは一線を画した
優しさと美しさが漂います。

こうしてフランスでは、
アジアの染織品が爆発的に人気を博していきました。

しかしその流行は、
伝統的な絹やウールの生産者の反感を買い、
更紗の制作、綿の輸入、さらには着用することさえも
禁止されることになってしまいました。
 
 


トワル・ド・ジュイの誕生~ジュイ・アン・ジョザスの工場~


更紗の禁止は8年間続きました。

その禁止がいよいよ解かれようとする頃、
パリの工場から、「優れた*捺染(なっせん)技術者」
を要請する依頼がスイスの捺染工場に入りました。
*捺染(なっせん):布地に模様を印刷する染色方法。

依頼を受けたのはプリント技師、
クリストフ=フィリップ・オーベルカンプ。

※13オーベルカンプの画像
オーベルカンプ
出典:http://toiledejouy.jp/

弱冠20歳の彼はパリに赴き、
1760年、ベルサイユ近郊の村、
ジュイ・アン・ジョザスに工場を設立。

そこで『トワル・ド・ジュイ』は生み出されました。

※12ジュイ・アン・ジョサス工場の絵
ジュイ・アン・ジョサスの工場
出典:http://toiledejouy.jp/

工場が設立された1760年から閉鎖する1843年まで、
人物を配した田園風景のモティーフや、
花が散りばめられた楽しいデザインのものなど
約3万点を超えるをテキスタイルのデザインが
生み出されたといわれています。
 
 


トワル・ド・ジュイの発展 ~デザイナーの起用~


オーベルカンプは、常に自身の工場の技術向上や
新しい技法を取り入れる事に意欲的だったそうです。

オーベルカンプが新たに取り入れたこと。

それは当時まだ〝テキスタイルデザイナー”という
概念が無かった時代に、画家として名声を得ていた
「ジャン=バティスト・ユエ」を筆頭デザイナーに起用したのです。

※16ユエの動物画出典:http://toiledejouy.jp/

ユエは当時、すでに動物画家として、
王立アカデミーから称号を受けるほどの人気画家で
作品はルーブル美術館にも収蔵されているほどです。

工場の設立から10年ほど経った1770年ごろ
『トワル・ド・ジュイ』に繊細な銅板プリント
(銅板の表面を凹版にし、インクを流して印刷する方法)
が導入され、ユエの絵をプリントしました。

※15銅板プリント画像出典:http://toiledejouy.jp/

新たに導入された技法を
最大限に生かせるデザイナーを起用したことで、
トワル・ド・ジュイの名が世の中に一気に広まる
きっかけとなりました。
 
 


本展のみどころ


今回の展覧会で本国フランスから
初めて国外に持ち出されたという
当時の貴重なコレクションや、
トワル・ド・ジュイのインスピレーションの源となった
インド更紗や、古いタペストリー、
日本で独自に発展した和更紗などが展示されています。

※4出典品アソート画像1出典:http://toiledejouy.jp/

テキスタイル好きにはたまらない、
豪華な展覧会になっています!

※4出典品アソート画像2出典:http://toiledejouy.jp/

フランス革命・ナポレオン帝政時代などと
共に歩んできた「トワル・ド・ジュイ」の、
誕生から今日に至るまでの歴史には、
目を見張るものがあります。

わたし自身、歴史や美術、
そして何よりもテキスタイルが大好きなので
今回の展覧会は、激動のヨーロッパ史と
密接な題材だったこともあり
とても興奮してしまいました!

またマリー・アントワネットが愛した
トワル・ド・ジュイのドレスの断片が
展示されています!
約200年以上も前の〝布”をこの日本で見られるなんて
またとない機会なのでこちらも見どころです。
 
 


さいごに


遠いアジアの魅惑的なテキスタイルが
西洋にもたらされてから、
トワル・ド・ジュイをはじめとした西洋更紗は
独自の発展を遂げ、今なお世界中で愛されています。

貴族たちを中心とした歴史から、
庶民のための歴史や美術、
テキスタイルが生み出されるようになった
この時代は、とても語りつくせないものがあります。

当時の職人たちの努力や探求心が
今に繋がっていることを強く感じ
布を扱うお仕事をさせて頂いている今、
敬意を持って受け継いでいきたいと思いました。

ぜひご興味ある方はトワル・ド・ジュイの世界を
ご覧になられてはいかがでしょうか。

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<イベント詳細>
名称      西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展
会場      Bunkamura ザ・ミュージアム 
開催期間    2016年6月14日(火)~7月31日(日)
       10:00~19:00(入館は18:30まで)
       毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
チケット料金 一般 1,400円、大学・高校生 1,000円、中学・小学生 700円 ※料金は全て税込価格です
公式サイト  http://toiledejouy.jp/

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